マスク最新インタビューを見て思ったこと
中東は、世界でも都市成長が最も速く、人口密度の変化が最も激しい地域の一つである。
目次
序章
・最初の反応は「興奮」だった
・AGIは「いつ来るか」ではなくなった
第一章 「半導体不足」から「電圧不足」へ
・メンフィスのジレンマ
・なぜ変圧器なのか
第二章 中国の「インフラによる次元降下攻撃」
・算力戦の後半はエネルギー戦
・500TWhと「戦車戦」
第三章 軌道データセンターとスターシップ
・軌道データセンターと光の計算
・宇宙を製造業に変える
第四章 生物知能
・生物ブートローダー
・デジタル不死とNeuralink
・2026〜2035年 医療の大爆発
・人口崩壊への警告
第五章 飼い猫トラップ
・ホワイトカラー階級の消滅
・経済再構築──お金はどこから来るのか
・年金無用論
・飼い猫トラップとは何か
結語
・文明規模の地殻変動
・津波の前に、どんな方舟を作るべきか
付録・関連トピック
・中国の最新EV販売動向
・米国自動車メーカーの戦略転換
・中東の都市成長と人口集中
・Xと生成AIを巡る問題
・イラン情勢アップデート
最初の反応は「興奮」だった。
というのも、今回マスクが語った多くの大胆な未来予測が、私が以前の記事で書いていた「推測」とほぼ同じ方向だったからだ。
これは自慢ではない。自分の考えが、尊敬する人物の見方と一致したときに、思わず感じてしまう小さな「誇らしさ」に近い。
しかし、その興奮が少し落ち着くと、次にやってきたのは別の感覚だった。
それは恐怖ではない。
海岸の水平線に一本の白い線が現れたときに感じる、「ああ、津波がついに来たのだ」と理解してしまう、あの確信に似た感覚だ。
AGIは「いつ来るか」ではなくなった
過去2年間、テック業界ではずっと議論が続いてきた。
AGI(汎用人工知能)は2028年に来るのか、それとも2030年なのか。
AIは仕事を奪うのか。
どう投資すべきか。
どう準備すべきか。
しかし、この2時間のインタビューの中で、マスクは極めて断定的な口調でこう言った。
「AGIは2026年に到来する」
もしマスクが正しければ、私たちが慣れ親しんだ世界は、あと12か月で完全にリセットされることになる。
本稿は、このインタビューをもとに私なりに整理したまとめであり、少しでも参考になればと思う。
一「半導体不足」から「電圧不足」へ
2026年のテクノロジー戦争は、もはやウォール街が注目するNVIDIAの株価やGPUチップではない。
戦場は、より下層の物理世界に移っている。
マスクは次のような視点を示した。
「You need transformers for the transformers.」
AIモデル(トランスフォーマー)を動かすには、変圧器が必要だという意味だ。
1. メンフィスのジレンマ
需要側:
AIの計算需要は、毎年10倍という指数関数的なスピードで増加している。
供給側:
変圧器の世界的な生産能力は、シーメンスやABBといった老舗企業が握っており、年間成長率は約10%にとどまっている。
マスクによると、メンフィスでColossus 2クラスターを建設した際、公共電力網への接続に1年待たされる必要があったため、天然ガスタービンを購入して自家発電せざるを得なかったという。
さらに、AIトレーニング時の電力負荷はミリ秒単位で100%変動するため、発電機が不安定になり、大型のTesla Megapackバッテリーを併用して電力を平滑化する必要があった。
これは、問題が単なる「電力不足」ではなく、「安定した電力不足」であることを示している。
2. なぜ変圧器なのか
AIチップは非常に繊細で、0.8〜1Vの低電圧直流電しか扱えない。
一方、国家電網が供給するのは33万ボルトの高圧電力だ。
産業用変圧器で段階的に電圧を下げなければ、数十億ドル相当のチップは一瞬で破壊されてしまう。
2026年は、チップを持っているだけでは意味がなく、「電力を持つ者」だけがAIを動かせる時代になる。
資金は、過密なテック株から、銅鉱、変圧器コア材料、シュナイダーやイートンといった電力設備企業など、インフラ分野へと流れていくだろう。
二 中国の「インフラによる次元降下攻撃」
インタビュー開始からわずか43秒で、マスクは次の発言をした。
「現在のトレンドに基づけば、中国はAI算力で世界の他地域を大きく上回る」
彼はさらに、2030年には中国の電力生産量が米国の3倍になると予測している。
1. 算力戦の後半はエネルギー戦
チップは速度を決めるが、電力は持続時間とモデルの数を決める。
米国の電力網は老朽化、分断、規制に縛られており、州を跨ぐ送電線の承認には平均10年かかる。
その頃には、AIはすでに世界を変えているだろう。





